本当はうれしかったんだ。
でも悔しいから、絶対、言わない。






● 笑顔の在処  EPISODE 4 ●






数分もすれば、アレンの言葉が嘘ではないことがわかった。
彼は確かに強かった。
は多種多様の武術を身につけているためそれらが交じり合い、相手にとっては非常に戦いにくいはずなのだが、アレンが戸惑ったのはほんの始めのうちだけだった。
彼は素早くの動きを見極めると、徐々に順応してきたのだ。


の武器は身の軽さと、スピードである。
しかし体格が小さいため一撃に重みがなく、連続攻撃を許してもらえるほどアレンには隙がなかった。
加えて朝から続けていた神田との鍛錬の疲れが出てきたようだ。
どうやっても弾む息を、は無理に押さえつけようとした。
かれこれ数時間ほど戦っていたが、本人たちにその自覚はない。
けれど目に見えてきたの疲労にアレンが口を開いた。





彼もさすがに少し息を切らしていたが、ほどではない。
鈍い音を立ててぶつかり合った互いの腕の向こうでアレンが言った。


「大丈夫ですか?」
「なに?勝負の途中に相手の心配?」


は強がって笑ってみせた。
それが強がりだとは死んでも認めないが、それでも平常を意識して微笑んだ。


「ずいぶん余裕だね」
「……………」


そう言われて口を閉じた。 を見つめる。
アレンとしても、勝負の途中に相手を気遣うのは失礼だとわかっていた。
しかし彼女が今こうして自分と戦っているわけを考えると、どうしても言わずにはいられなかったのだ。


(この人は本当の、素直な僕を認めてくれた)


というより、それしか認めてくれなかったのだ。
それはもう頑固とか強情の域に入る。
周囲に波風を立てないようにと気遣ったアレンを怒っただが、意外なことに進んでそういう状況をつくっているわけではなさそうだ。
どうやらアレンが譲ってはいけないところで和を大切にし、身を引こうとしたのが我慢ならなかったらしい。


本音を言えばうれしかった。
そうやって自分のことみたいに考えて、本気で怒ってくれたことは。


けれど、そろそろは限界だ。
休ませなければと思うけれど、この意地っ張りが言って聞くものかと、アレンもすでに理解していた。


「……仕方ありませんね」


アレンは小さく呟いた。
何とも乱暴な方法だが仕方がない。女の子扱いはなしだという約束を守ろう。
打ち合う拳と蹴りの間で、アレンはわざと微笑んだ。



「なに」


息を切らしているので彼女の返答は短い。
促されてアレンは言った。


「僕はそろそろお腹が空きました」
「はぁ?」


は思いきり不審そうな顔をしたが、アレンは構わずに続ける。


「実は昼食まだなんです」
「そんなの私もだよ!てゆーか朝の5時から何も食べてないし」
「………それでよく今まで鍛錬してましたね」


アレンは半分感心、半分呆れを込めて吐息をついた。
二人で勝負をはじめたのがちょうど昼ごろ。
それまで彼女が休まず神田と鍛錬をしていたのなら、軽く十時間は動きっぱなしではないか。
本格的に休ませなければと強く思って、アレンはの蹴りを打ち払う。


「とにかく僕が言いたいのは」


の拳がアレンを襲う。
上半身を狙ったそれを飛び退ってかわし、さらに振るわれた彼女の手を確実に掴んだ。
金の瞳が見開かれる。
並外れたスピードを持つだ。
こうあからさまに体の一部を押さえられたことは、今までにそうあったことではないのだろう。
しかしアレンが簡単にそれをやってみせたのは、彼女の疲労によるところがあった。
勝負を始めたころよりのスピードは格段に落ちている。


「……っ!」


はアレンの手を振り払おうと動いたが、一度捕らえてしまえば力の差がそのまま出る。
少年の手は石像のように固く、少女を捕まえて離さない。
アレンは無理やりの体を引き寄せ、近くなった互いの間で笑った。


「そろそろ終わりにしましょう?」


閃くように囁く。
アレンは彼女を捕らえている手を勢い任せにひねった。


次の瞬間には、の体はくるりと回って宙に浮いていた。


傍目にはかすむようにしか見えないが、アレンが関節を利用して投げ飛ばしたのだ。
このままの体は床に叩きつけられて、勝負は終わる。


「僕の勝ちです」


アレンは言いながら考える。
この後彼女を休ませるために自室まで送って行くか、腹に何か入れさせるために食堂に連れて行くか。
どちらにしろ、しばらくは立てないだろう。
はそこまで限界なのだと、アレンにはわかっていた。


しかし、その刹那。


床に激突する寸前で、突然金の光が動いた。
は空中でバネ仕掛けのように起き直り、掴まれているアレンの手を握り返す。
そのまま力ずくで引き寄せて体勢を崩したアレンの足に衝撃をくらわせる。
驚いたことに、彼女が猛烈な速さで足払いを仕掛けてきたのだ。


「な……っ!?」


予測もしていなかったことにアレンは瞠目した。
頭から倒れこみそうになった体を、慌てて右手で支える。
の手を打ち払い、体を回転させて着地。


その時にはもう、勝負はついていた。


首筋に触れる、の手。
鋭い手刀がアレンを捕らえていた。
咄嗟に構えたアレンの手は、彼女の喉元に向けられている。
互いに急所をピタリと押さえたまま、二人はしばらく沈黙した。
アレンはいまだこの状況に驚愕を隠せない。
まさかあの体勢から反撃されるなんて。
その顔を見て、はにやりと笑った。


「ね、私の負け?」


彼女が言いたいことがわかって、アレンは半眼になった。


「負けず嫌い」
「筋金入りなんだ」
「勝負は引き分け……ですね」
「あははやったーありがとー」


はへらへらと笑いながら言って、次の瞬間床にへたりこんだ。
全身で呼吸してもまだたりないかのように見えて、アレンはますます呆れた表情になった。


「その状態でよく反撃してきましたね」
「ネバーギブアップスピリッツの持ち主だよ私は」


言っていることは難だが、確かにその意地には敬服できるものがあった。
金の瞳には光が踊り、座り込んだ今でも彼女は誰よりも生き生きと輝いて見える。
なんて強情で、気丈で、覇気のある少女なのだろう。
アレンが思わずその姿に見入っていると彼女の肩にそっとタオルがかけられた。
いつの間に近づいて来ていたのだろう、見学者の女の子たちだった。


「大丈夫ですか?さん」
「はい、お水です!」


彼女たちはの世話を焼きながら、アレンのほうにも視線を送ってきた。


「すみません、勝負に夢中になっちゃって……」
「タオルは予備があるんですけど」
「お水、すぐにお持ちしますね!」


申し訳なさそうに、慌てたようにそう言う彼女たちに、アレンは微笑んで首を振った。


「いえ、いいんです僕は。気にしないで」


言った途端、何故か予備のタオルを山ほど渡された。
その顔がなんとなく赤かったことなど気付きもしないで、アレンはお礼を言ってからの隣に座る。
すると彼女はこちらを見もせずにボトルを突き出してきた。
アレンとしてはきょとんとする他ない。


「何ですか?」
「飲んで」


短く言われる。息はまだ切れたままだ。


「え……と、僕がですか?」
「他に誰がいるの。早く。腕しんどい」


そう言われては受け取るしかなかった。
とはいえそれはが飲んでいたもので、アレンが口をつけるとなると、つまりそういうことになる。
彼女としてはただ純粋な厚意としてくれたのだろうが、根が紳士なだけあってアレンは戸惑った。
どうしよう……とか思っているうちにはおもむろに床に仰向けになった。
細く伸びやかな手足を惜しげもなく放り出す。
年頃の少女の行動ではなかったが、がすると何故か見ているこちらまで気持ちがよかった。


「はぁ、疲れたー!」


ううんっと伸びをして、は横になったまま視線を滑らせた。
鍛錬場の壁にかかった時計を見る。
針はすでに夕方の時刻をさしていた。


「げ。まっずいなー。神田放ったらかしだよ」


言われてアレンが休憩室を振り返ると、そこに神田の姿はなかった。
当然といえば当然だが。


「行っちゃったみたいですね」
「ユウちゃんってあれで案外寂しがり屋だから、放っておくとすぐ拗ねちゃうんだよね。後で謝りに行かないと」
「僕も行きますよ」


が神田を放っておくことになった原因は、自分にある。
アレンは当然のこととしてそう申し出たのだが、に軽く手を振られた。


「いいよ。約束してたのは私なんだし。あんたが行くと八つ当たりの対象になっちゃう」


アレンはあっさり断られたことに少し不服を感じたが、もしかして自分と神田の仲の悪さを考慮しての言葉だったのではと思い至った。
前から思っていたことだが本当には何も考えていないのか、すごくたくさんのことを見越しているのか、わかりにくい。


「それにしても、あんた強いね」


笑みを含んだ声で言われてアレンはを見た。
頭を床につけて、金色の双眸がこちらを見上げていた。
アレンはどうすることもできないボトルを持ったまま、につられて何となく微笑んだ。
彼女の笑顔には他人を巻き込む力がある。


「……君もね」
「見た目は弱っちそうなのになー」
「それを言うならこそ。華奢だし、全然強そうには見えませんよ」
「憧れてはいるんだけどね。ムキムキマッチョ!見ててよ、私はいつか背丈が2ートルくらいになって、照り光る筋肉に白い歯がキュピーン!」


瞳を輝かせて言われて、思わずアレンは想像してしまった。


「それで、神田とかラビをけちょんけちょんに……」
「……っ、はは!」
「え?」
「あはは、駄目ですよ!全然似合わない!!」


つられて笑っていた笑みは本物になって、アレンは腹の底からおかしくて、声をたてて笑った。
大きな感情だった。
胸の内が暖かくて、くすぐったいような。
ひとしきり笑ってから、アレンがのほうを見ると、吃驚するくらい近くに彼女がいた。
いつの間にか起き直ってこちらの方へと身を乗り出していたのだ。
驚いて目を瞬かせると、その顔をじっくり眺めては感心したように言った。


「あんた普通に笑えるんじゃない」
「………はい?」


はふと口元をゆるめた。



「かわいい」



言葉にはしみじみとした響きがあり、彼女が思ったことをそのまま口にしたことがわかる。
楽しげに細められた金の瞳。微笑み。


「――――何を……」


言ってるんですかと言おうとして、それより先に頬が熱くなるのをアレンは感じた。
鼻がくっつきそうなくらいの顔が近いから、慌てて体を引いて目を逸らす。
勝手に高鳴りはじめた心臓がうるさい。
そんなアレンの様子など少しも気づかないで、はさらに言った。


「いつもそういう風に笑ってたらいいのに」


は純粋に先刻の自分の笑顔を気に入ってくれたようだった。
今までは微笑んでも「気持ち悪い」と言われるばかりだったので、彼女がそんな風に思ってくれるとは少しも考えてもいなかった。
また不意打ちだ。
どうにもは心臓に悪い。
それに……びっくりした。
あんなに近くで微笑まれたから。
初めてのことになんだか落ち着かない。
けれどその感情は決して初めて抱くものではなくて、例えば彼女がこの呪いの傷に触れたとき。
何の躊躇いもなく、赤い左手を握ったとき。
同じものを感じた。
胸が一杯になるような、慣れない感覚。
何なんだろう、これは。
考えようにもなんだか隣が気になって、アレンはぶっきらぼうな口調で気持ちを隠した。


「可愛いなんて言われても嬉しくありませんよ」
「うわ、いきなり無愛想。さっきまでのあんたはどこに行った!」


もう一度笑えーとか言ってが頬に手を伸ばしてくるので、アレンは思わずそれを払いのけた。
普段より明らかに乱暴な行動だったが、何故だか今はどうすることも出来ない。
とにかく話題を逸らすために、の方を見ないまま言う。


「それより!ずっと思ってたんですけど、僕のこと“あんた”って呼ぶのやめてくださいよ」
「え?」


めげずにアレンへと手を伸ばそうとしていたは、それを聞いて目を瞬かせた。
アレンは感情を悟られないように早口に言う。


「僕はちゃんと“”って呼んでるじゃないですか。君も僕のこと、名前で呼んでくださいよ」
「あー、そういうこと」


はうんうんと頷いて、軽くアレンの肩を叩いた。


「わかったよ、これからはちゃんと名前で呼ぶね。モヤシ!」
「誰がモヤシですか!!」


アレンは腹の立つあだ名で呼ばれて思わずの顔を見てしまったが、動揺よりも先に眉をひそめた。
は笑顔だった。
それも満面の。完璧な微笑み。
何となく不穏なものを感じて、アレンはを見つめる。


「……何ですか」
「えー、ええーっと。あのですね……」
「はい」
「非常に言いにくいんだけどー…………」


そしては自分の頭を軽く小突きながら、開き直り気味の笑顔で言った。



「私、あんたの名前覚えてないや!ごめんね!!」


「…………………………………」



アレンはきっちり三呼吸ほど固まって、それからさらに彼女の言葉を五回ほど反芻して、ようやくその意味を呑み込んだ。


それから完膚なきまでに脱力した。


眩暈のような衝撃を感じて、床に両手をつく。
がくりとうなだれると白髪が頬にかかった。


「あ、あー!ごめん!私 人の名前覚えるの苦手なんだ!ホントごめん!!」


慌てたようにが言っているが、アレンの耳には入らなかった。
僕の名前を覚えてない?
初対面で殺そうとして、訳のわからない妄想で責めてきて、勝手に部屋に入ってきて、変質者呼ばわりして、油性ペンで床に地図描いて、人の顔に落書きして。
そして今日のこれで、


僕の名前を覚えてない?


(ふざけるな)


間違っても女の子に思ってはいけないことを本気で思って、アレンは片手で顔を覆った。
ふつふつと湧き上がってくる感情に唇が歪む。


「ふ……ふふ、ふふふふふふふふふふっ」
「げ……っ、なに!?」


震えるアレンの背後から目に見えるような黒いオーラが立ちのぼってきたのを見て、は咄嗟に後ずさった。
彼女が本能的に嫌なものを感じているなか、アレンはふらりと顔を上げる。
そして手に持っていたボトルを睨みつけた。


(馬鹿馬鹿しい)


強く思って、躊躇っていたことなど嘘のように口をつけて中の水を飲む。
それは見事な飲みっぷりで、一気に半分ぐらいを喉に流し込んでから清々しい笑顔をに向けた。
―――――――目はまったく笑っていなかったが。


「すみません僕がうっかりしてました。人の名前を覚えるだなんて高度な芸、君に出来るわけがないですよね!」
「え。何、ちょっと待って。どうしたのその暴言!」


は異様な雰囲気に身を引いたが、その距離よりもさらにアレンが顔を寄せる。


「暴言?なんのことです、頭だけじゃなくて耳まで悪いんですか?」
「別にどっちも悪くないよっ」
「絶望的ですね」
「おいー!」
「救いようがありません」


完璧な笑顔でそう言ってやると、さすがのもだんだん状況が飲み込めてきたようだ。
もちろんアレンがどうしてここまで言うほど腹を立てているのかは理解していないだろうが、それでも嫌そうに眉を寄せた。


「あんたってやっぱりそーゆーのが本性なの?」
「さぁ?どうでしょうね」
「かわいいなんて思った私がバカだった……。頭痛い」
「あぁ大丈夫ですか?ほら、これで冷やしてください」


アレンは笑顔で言って、の額に勢いよくボトルを押し付けた。
ごん!と鈍い音を立ててぶつける。
すると、見る見るうちにの瞳に涙がにじんできた。


「い、痛っ痛い!痛いってちょっと!!」
「ですよね、さぁもっと冷やさないと」
「何その親切を装ったイジメ!そこはやめて 最初にあんたがボトルぶつけてきたところだよ!タンコブできてるんだよ痛いってばー!!」
「タンコブなんてできてたんですか、本当にすみません。僕が責任をもって冷やしてあげますからね!!」
「ちょ、バカ、痛いコレほんと、ボトルぐりぐり押し付けてくんなぁぁぁあああ!!!」


は大声で叫びながら、全力で暴れてアレンの手を振り払った。
真っ赤になった額を押さえて非難の瞳をアレンに向ける。


「なんてことすんの!?」


アレンは急に興味を失ったようにボトルをその辺に転がした。


「別に。謝罪のためにしたことですよ」
「それのどこにぐりぐり押し付ける必要が!?」
「ちょっと気合を入れてあげただけじゃないですか」
「嘘でしょ、全力で痛くしてきたくせに!」
「気のせいです。その点ではむしろ感謝されたいぐらいです」
「何この人最悪だー!!」


は座ったままの姿勢で、一度強く足を踏み鳴らした。
そして急に立ち上がって叫んだ。


「神田ー!神田来てー!鍛錬がわりにこの腹黒少年を一緒に殺っちまおーう!!」


言うなり駆け出そうとしたの足首を、アレンは凄まじい速さで掴んだ。
それはほとんど無意識の行動だったが、ぷぎゃ!とかいう奇妙な悲鳴と共にすっ転んだを見て思った。



僕の名前は呼ばないのに(それどころか覚えてもいないくせに)、神田の名前は簡単に呼ぶのか。



付き合いの長さから考えたらそれも普通のことかもしれないが、何故かアレンはその事実に猛烈に腹が立った。
そもそもこれだけ自分を振り回しておいて、この仕打ちは何だ。
いや、仕打ちでいうなら出逢った瞬間から物凄いものがあった。
世にも珍しい目にあわされたのは忘れたい過去である。


(そっちがその気なら、こっちにも考えがありますよ)


アレンは掴んでいたの足首をぐいっと引っ張った。
それはとてつもなく強い力で、ぶっ倒れたまま痛みに震えていたの体は楽々と引きずり寄せられた。


「ちょ……っと、やだ何するの離せコラー!」


はうつ伏せの状態から仰向けになり、何とか逃れようともう片方の足を繰り出してきたが、狙いの定まっていないそれをアレンはひょいと捕まえた。
こうしてしまえばやはり自分は男で、彼女は女だった。


「痛い痛い、離してよばかっ」
「痛くはしてませんよ。騒がないでください」
「そーゆー問題じゃないでしょ何なの!?」
「いえ、別に」


アレンは横たわったままのを巧みに押さえ込むと、にっこりと微笑んだ。


「よく考えたら、君がしてくれた豪快な歓迎のお礼をしてなかったな……って思って」
「は……?」
「だからですね。出逢って間もないのにこんなことを言うのは大変恐縮なんですが」


ダァンッ!!


アレンは床に倒したの顔の横に、拳を叩きつけた。
もちろん本気ではない。ただの演技で、脅しだ。
だがには効果抜群だったらしく、おもしろいほど表情が引き攣った。
その顔を満足そうに眺めて、アレンは言った。


「相応の報復をさせてください」


スッと細められる銀灰色の瞳。
口元に完璧な笑みをたたえた白髪の少年に、はひくっと息を呑んだ。


そして迫り来る魔の手に絶叫した。


「い……っ、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!!!!!」







少女の悲鳴は黒の教団内に高らかに響き渡った。








はい!終わりませんでした!(殴)
いや、本当はこれで終わらそうと思ってたんですけどね。
なんかね、続いちゃったんですよ。ビックリ!
そしてようやくアレンの反撃開始です。
彼がヒロインにどんな報復をしたのかは皆さんのご想像にお任せします。
私の口からはとてもとても。(笑)